未公開物件が良さそうなのですが本当に良い物件はあるのでしょうか?
はい。良い物件もあります。ただし注意点もあるので解説していきます。
未公開物件という言葉を聞いたことがある方も多いかと思うが、具体的にどのような物件のことを言うのだろうか?未公開ということで条件が良い物件であることが期待されるが、メリット以外にもデメリットも多く存在する。今回の記事で物件情報を未公開にする理由とその実態について詳しく説明するので参考にして頂きたい。
目次
未公開物件とはどういった物件か?
未公開物件とは、不動産ポータルサイトやレインズに掲載されていない物件でインターネットで検索しても出てこない物件のことを言う。基本的には業者間のみで情報のやりとりがされ、一般の方には直接メールやSNS若しくは対面にて情報の提供をされる物件のことだ。
物件を探している側からすると、未公開=良い物件というイメージがあるが、実際はそうとは限らない。もちろん中には良い物件もあるのでその辺りの見極めについても解説させて頂く。
またレインズとは不動産流通標準情報システム (Real Estate Information Network System) の略で、不動産会社間で物件情報を共有できるシステムのことだ。レインズの詳細はこちらの記事を参照頂きたい。
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媒介契約によっては未公開物件にできない理由とは?
未公開物件の条件としてはレインズに掲載されていないことが条件としてある。売主が不動産会社と締結する媒介契約によって未公開にできないケースもある。3つの媒介契約について下記に記載するので参考にして頂きたい。
種類 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
自己発見取引 | できる | できる | できない |
依頼できる会社の数 | 上限なし | 1社限定 | 1社限定 |
売主への報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズ登録義務 | なし | あり | あり |
契約期間 | 規定なし | 3ヶ月迄 | 3ヶ月迄 |
自動更新 | OK | NG | NG |
上記のように、一般媒介契約以外についてはレインズ掲載が義務化されているため、未公開物件にすることはできない。しかし実態はそうでないことも多い。また媒介契約についてはこちらの記事を参照頂きたい。
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物件囲い込みにより未公開となるケースもある
物件の囲い込みとは売却の依頼を受けた不動産会社が両手取引をするために、物件情報を他の不動産会社と共有することなく、自社の顧客のみに公開する行為のことを言う。不動産会社の利益のために物件の売却機会が損なわれるためあってはならない行為だ。
上記のレインズに登録をしていたとしても、あえて他の不動産会社に情報提供をしないケースもある。未公開物件にはそのような物件もあることを理解しよう。物件の囲い込みについてはこちらで詳細を解説しているので参照頂きたい。
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なぜ未公開物件にするのか?
未公開物件物件は業者にとってあまり好ましくない一般媒介契約が必要であったり、宅建業法に抵触しかねない囲い込み行為をしなければならないリスクがある。ではなぜそこまでして未公開物件とする必要があるのだろうか?
未公開物件は人気があるから
不動産は土地、建物それぞれで同じものは一つとしてなく、個別性が強いのが特徴だ。買い手もそれなりのこだわりを持って購入するケースが多い。仮に同じ条件の2つの物件があったとして、物件Aが公開物件、物件Bが未公開物件だとした場合どちらが選ばれるだろうか?答えは物件Bが圧倒的に選ばれる。理由は未公開ということでより希少性が高いと思われるからだ。思われるというところがポイントで実際は全く同じ条件だとしても未公開という言葉が希少性となり購入につながるのだ。よって多くの不動産会社は未公開物件を取り扱う傾向にある。
未公開だからといって必ずしも良い物件ということはありません。
収益物件や高額物件は未公開物件が好まれる傾向が強い
収益物件や都心部の高額物件に関しては未公開物件が好まれる傾向がある。理由は上述した物件の希少性の問題だ。その他にも、目の肥えた投資家は公開物件であることだけで検討しないこともある。
そもそも、客付けに強い仲介会社は公開物件は取り扱わない。仲介会社の価値は情報力であり、どの会社でも紹介できる公開物件を紹介しているようでは、その会社の価値が下がってしまうからだ。例えばレインズで東京都港区で物件を検索しても、物件情報は他の区と比べて極端に少ない。港区のような人気エリアでは殆ど物件は未公開として取り扱われているのである。
未公開にしなければならないその他の理由とは
また、不動産の売却を近隣の方や親戚に知られたく無い方もいる。公開物件にすると住所が特定されてしまい、売却していることが誰にでもわかってしまう。
また芸能人や著名人などが不動産を売却する場合、公開にすると、謄本等から名前がばれてしまい身元がわかってしまう可能性がある。よって物件の希少性という理由以外にも未公開物件とする理由は多々ある。
未公開物件は怪しい?おとりの可能性も
未公開物件は人気があるのは間違いないが、それを利用した悪質な集客をする不動産会社もいるので注意しよう。いわゆる「おとり広告」というものだ。すでに契約が決まっている物件や、そもそも、売りにも出されていない物件を広告に出し、問い合わせが来たら「その物件はもう終了しました」と伝えて別の物件を紹介する手法だ。
昔からある古典的な集客方法であり、宅建業法でも禁止をされているが、未だに無くならないのが現状だ。未公開物件が全ておとり広告というわけでは無いが、未公開物件をおとり広告と勘違いしてしまい、未公開=怪しいという印象を持つ方も多いのかもしれない。いずれにしてもおとり広告と本当の未公開物件を事前に見極めることは難しいので、一度問い合わせするしかないというのが現状だ。
おとり広告への対策とは?
おとり広告の被害が深刻化するなかで、国交省も本腰を入れて対策をしている。不動産広告に関しては宅建業法と不動産の表示に関する構成競争規約によって規制があり、宅建業法では32条(誇大広告の禁止)33条(広告開始時期の制限)、34条第1項(取引態様の明示)で定めがある。下記に32条を記載する。
(誇大広告等の禁止)
第三十二条 宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
おとり広告も当然上記に抵触する形となり、指示処分、業務停止処分事由にもなる。また特に情状が重い場合は免許取り消しとなるケースもある。その他罰則もあり6ヶ月以下の懲役、若しくは100万円以下の罰金の定めもある。このような状況から数が減っているのは確かではあるが、完全に無くなってはいない。
未公開物件の探し方とは
おとり広告や単なる囲い込み物件の可能性もあるが、本当に良い条件のものがあるのが未公開物件の特徴でもある。では未公開物件を自ら探すにはどのようにすれば良いのだろうか?まず未公開物件はインターネット上には掲載がされていないため、不動産会社から直接紹介をして貰う必要がある。よって不動産会社と一度接点を持つことが重要だ。
一度接点をもって連絡先を交換して、自分が欲しい物件のニーズを明確にして伝えよう。
●エリア ●価格帯 ●物件の種類(戸建て、区分マンション、収益物件) ●築年数 ●利回り(収益物件の場合) |
そして、未公開で上記条件に合う物件が出た場合は紹介して下さい。と一言伝えよう。ここで重要なポイントがある。不動産営業マンはだれでも紹介者の優先順位をつけている。
仮に良い物件情報が手に入った場合、優先順位が高い人から紹介を進めていくことになる。よって自分の優先順位を上げてもらう必要があるのだ。そのためには、自分は買えるということを明確に伝えておく必要がある。例えば、既に別物件で◯◯銀行で◯◯◯◯万円の融資内諾を得ているので上記条件の物件であれば確実に買えるので優先して物件情報を送って下さいなど、自分に物件情報を送ってもらうことで営業マンにとってメリットになるような情報を伝えてアピールしよう。
安く購入できる未公開について
収益物件における未公開物件は相場よりも安く購入できるものが多くある。「相続税を支払うために直ぐにでも現金化しないといけない」「ローン返済できないので売却して完済したい」「事業の借金を返済するために急遽売却して現金化する必要がるある」「築年数が古く空室だらけのアパート」など理由は様々だが、そのような物件は金額交渉をしている暇も無いので相場よりも6〜8割程度の価格で購入ができる。
しかし、このような物件は不動産会社がローン特約無し、契約不適合免責で購入してしまうので一般の方の元に出回ることは無い。しかし、業者と同じ条件で購入できれば個人の方でも購入は可能だ。
ローンが下りなかった場合は現金決済、購入後雨漏りなどの契約不適合があっても文句が言えないなどのリスクはあるが、それでも物件を安く購入したいのであれば、その旨を仲介会社に伝えて物件を紹介してもらうようにしよう。
良い条件の物件を買うには自ら動いてそれなりのリスクを取る必要があることは覚えておこう
まとめ
未公開物件には不動産会社の様々な思惑があり、媒介契約などによっても制限がある。またおとり広告のようなものもあるので注意しなければならないケースも多い。ただし中には本当に価値ある物件もあるので、本気で良い条件の物件を探しているのであれば、積極的に不動産会社に問い合わせをして、良い関係性を築き、紹介してもらうようにしよう。特に収益物件に関しては未公開物件は多い。日頃から不動産会社との付き合いがあればそのような情報が回ってくるケースも多いので、未公開物件を購入するのであれば、日々の情報収集は怠らないようにして頂きたい。