アパートを売却する方法とは?予備知識や売却費用なども詳しく解説

売却基礎知識

所有しているアパートを売却する方法について、悩んでいる オーナーは意外と多い。アパートを売却する際には、予備知識があるのとないのでは、結果が大きく異なることも少なくない。アパートを売却する方法は、自分で買い手を探すか、不動産会社に依頼するか2パターンある。

本記事では、アパートの売却の前に知っておくべきことから、アパートの売却にかかる費用や高く売却する方法などを解説させて頂く。また、アパート売却の注意点や悩んだ時の相談先も紹介するため、アパートの売却を検討されている方は、ぜひ参考にしていただきたい。

 

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アパート売却の前に知っておくべきこと

アパート売却の前に知っておくべきこと

これまで賃貸経営してきたアパートを売却するとなると、さまざまな問題の発生が予測される。問題発生を未然に防ぎ、円滑にアパートを売却するためには、予備知識が必要である。

アパート売却の流れ

まずは一般的なアパート売却の流れを解説する。

一般的なアパート売却の流れ

一般的なアパート売却の流れ

アパート売却は価格やタイミングよっては大きな利益を生み出すケースもあるが、税金や残債を無視すると損失を出してしまうこともある。そうならないためにも事前に最低限の知識を身につける必要がある。

売却タイミング

アパートの売却は、タイミングが重要だ。家賃収入と今後必要となる経費(大規模修繕費等)を考慮し、相場利回りが下がる前の段階で売り切ることが重要となる。不動産は、価値が下がる前に売却するのが鉄則だ。

アパートの多くは、木造や軽量鉄骨造である。木造建物の法定耐用年数は22年であり、軽量鉄骨造の建物の場合は、鉄骨の厚さが3mm以下では19年、3~4ミリで27年だ。法定耐用年数内であれば金融機関の融資も組みやすいので、高く売れる傾向で、逆に法定耐用年数を超えた場合は、買い手見つけることが難しいため売却の難易度は高くなる。 法定対応年数を超えて価値が下がる前に売却するのが良い。

売却価格に影響する要素

アパートの売却価格を決定する要素は、立地、土地面積、建物面積、構造、築年数、賃料収入、入居率となる。

入居率が低い場合、家賃収入も下がってしまう。アパートの購入者は収益物件として購入するため、収入が下がれば購入価格も下がってしまう。また、家賃滞納者が多い場合は買い手とってはマイナスの要素となるため売却前に退去してもらうなどの対策をすべきだ。

アパート売却相場

アパートの売却相場は、収益還元法という手法を用いて算出する。収益還元法とは得られる賃料収入からその物件のエリア、築年数、構造、建物用途から想定される利回りを割り戻して価格を計算する方法だ。年間家賃収入、ランニングコストといった要素が分かれば算出するができ、収益物件を取り扱う不動産会社に相談、査定を依頼すれば概ねの金額は提示してくれるだろう。

また、一括査定サイトを利用すれば、売却相場を気軽に知ることができるが、必ずしも良い不動産会社に巡り会えるとはかぎらない。一括査定サイトは媒介契約を結ぶために、基本的には高い金額が提示されることが多い。売れない金額での販売スタートになってしまうことが多く、最終的には高い物件として市場に認知され、相場価格ですら売れなくなってしまう可能性もあるのだ。一括査定サイトを利用する場合はそういったリスクも踏まえて慎重に不動産会社と付き合うようにしよう。

収益還元法とは、不動産の鑑定評価方法の1つである。将来的に生み出される利益をベースに不動産価格を求める評価方法だ。実勢価格に近い不動産価格を知ることができる計算方法でもある。

収益還元の計算方法

アパートの所有期間

アパートの所有期間を理解しておくことも、アパート売却の重要な要素である。不動産を売却すれば、譲渡所得税の対象となるが、譲渡所得税は所有期間によって大幅に変わるからである。

譲渡所得税は分離課税制度が適用されるため、他の所得との合算はできない。所有期間が5年以内のアパートの譲渡所得税は、短期譲渡所得となる。譲渡所得税については、後ほど詳しく解説させていただく。

入居者の有無

アパートを売却する際には、2つの方法がある。1つはアパートのオーナーチェンジであり、もう1つは、入居者の全員退去後の売却である。一般的に、アパートを売却する際には、前者のオーナーチェンジであるが後者の場合は、買主が現在の建物を解体して新たに新築アパートを建てる場合が当てはまる。入居者の退去については売主側が行うパターンもあるが、ほとんどの場合は買主が実施するケースが多い。(退去を得意とする不動産業者が買い取るイメージ)当然ながら退去のための費用もかかるので、その分が購入価格から差し引かれることになる点は注意しよう。

オーナーチェンジの場合は入居率が良ければその分価格に反映されるが、注意したいのは、入居率を上げるために、家賃を大幅に下げてしまうことだ。これをやってしまうと、収益還元法の収益が下がってしまうので結果的に売却価格も下がってしまう。よって、家賃を下げてでも入居室を上げることはしないようにしなければならない。

ローンの残債額

アパートの売却を検討する際に、金融機関から借り入れしている場合は、残債額の確認が不可欠である。アパートを売却した金額で、残債の完済ができない場合は、自己資金で残り債務を完済しなければならない。また、融資期限以内に解約をすると違約金が発生する場合もある。概ねの相場としては残債の1.5〜2.0%の金額となる。購入してから日が短く残債が多く残っている場合は無視できない金額となるため、事前に金額を把握しておく必要があるだろう。

アパートの売却にかかる費用

アパートの売却にかかる費用

アパートを売却する場合には、多種多様な費用が発生する。ここでは、アパート売却時に必要となる費用について解説させていただく。

測量費用

測量が必要かどうかは、売却時の売買契約の内容による。必要となるのは主に確定測量と言って、敷地境界を接する近隣と境界部分の同意をとることだ。売主が不動産業者でなく一般の場合は必ずしも必須ではなく、現況有姿という形で現状の形のまま売却すますという契約とすれば売主側に測量の義務は発生しない。このあたりは売主側につく仲介会社の腕のみせどころなので、できる限り売主に有利となるように買い側と交渉を進めてもらうようにしよう。もし仮に確定測量が必要となった場合の費用は概ね35万円~45万円程度を想定しておこう。

印紙税

印紙税は、アパート売却時に交わす売買契約書に貼り付ける印紙のことである。印紙税は アパートの売却額によって変動するため、次の表を参考にしていただきたい。但し最近は電子契約も増えているためその場合は印紙代は不要となる。金額が大きな物件を売却する際は電子契約も視野に入れて検討をしよう。

印紙税の表

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円 5千円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円 1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

※出典:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

軽減税率は、平成26年4月1日~令和6年3月31日までの間に作成される売買契約書が対象である。

仲介手数料

不動産会社にアパートの売却を依頼した場合は、 売却後に仲介手数料を支払う必要がある。仲介手数料には、上限が定められており、物件価格が400万以下であれば、手数料の上限は、18万円以内となっている。400万円を超えるアパートを売却を依頼した場合は、次の計算式で仲介手数料の上限を算出する。なお、計算式は次のようになる。

【不動産会社に支払う仲介手数料の計算式】

仲介手数料=物件金額×3%+6万円+消費税

仲介手数料は一般的に上記の計算式で算出するが、あくまでも上限であるため、不動産会社によっては、上限以内の手数料で済む場合もある。しかし、あまりに安価すぎる仲介手数料の場合には、売主を違法な取引に巻き込んだり、物件の囲い込みで買い手が限られるなど、売主に不利となってしまうケースが多いので要注意だ。正規の手数料を支払い、物件の囲い込みなどせずに、物件情報を積極的且つ適切に拡散してくれる不動産会社を選ぶことが結果的に売主の利益につながることは理解しておこう。

抵当権抹消費用

ローンで購入したアパートを売却する場合は、抵当権抹消手続きが必要である。この手続きの費用も、アパート売却に必要な費用となる。手続きの費用は、1つの不動産につき登録免許税が1,000円である。司法書士に抵当権抹消手続きを依頼できるが、その場合の代行手数料相場が2万円~5万円程度になる。

抵当権とは、ローンでお金を借りた債務者が、債務不履行となった場合に、債権者が土地や建物などで弁済を受ける権利のこと。

譲渡所得税

アパートを売却して、売却益が発生した場合は、譲渡所得税を納めなければならない。不動産売却による譲渡所得税は分離課税であり、確定申告時に申告し納税する仕組みだ。譲渡所得税が発生すれば、自動的に住民税も課税される。税率は、不動産を所有して5年以内か5年を超えているかで異なるため、下記に表で確認して頂きたい。なお所有期間については売却した年の1月1日時点で所有期間を5年超えている必要があるため、単純の所有権が移転してから5年後ではない点は注意したい。例えば1月1日にアパート購入した場合は長期譲渡になるには実質6年が必要なることは覚えておこう。

譲渡所得税の税率

所有年数 所得税率 住民税率
5年以内 30% 9%
5年を超えている場合(売却した年の1月1日おいて) 15% 5%

なお、令和19年までは、復興特別所得税が課税されるため、所得税額の2.1%を譲渡所得税と併せて納めなければならないのだ。

【譲渡所得税の計算式と具体例】

不動産の譲渡所得税の計算式は次のようになる。

譲渡所得税=譲渡額-(購入額+取得費用+譲渡費用)×税率

さまざまな特例はあるが、ここでは特例を考慮せず、単純な不動産譲渡所得の例を紹介する。

具体例と条件

購入額 1億円
譲渡額 1億2,000万円
所有期限 7年
取得費用 800万円
譲渡費用 500万円

譲渡所得税=1億2,000万円-(1億円+800万円+500万円)×15%=105万円

不動産の売却益は、分離課税であり損益通算はできないため、計算結果の金額が譲渡所得税となり、期限内に納めなければならない。

立ち退き料

アパートの売却では、入居者をそのまま次のオーナーに引き継ぐケースと、全ての入居者を退去させてから売却するケースがある。但し、現実的には売主が退去交渉することは稀で、買主への所有権が移転した後に買主側で行うケースが殆どだ。当然ながら退去費用は買主の負担となるため、その分が指値という形で売却価格から値引きされると認識しよう。因みに退去費用の相場は、入居者1人につき家賃の6か月分~10か月分程度とされている。

消費税

不動産売却に際して、消費税が課税されるケースと課税されないケースがある。土地の売却は原則として非課税であるが、建物の売却では課税対象となるケースがある。売主が、課税事業者でない場合は非課税であり、課税事業者であれば消費税は課税される。個人でも課税事業者とみなされるケースは、次のようになる。なお、消費税率は現在10%である。

  • 前々年の課税売り上げが1,000万円を超えていた場合。
  • 前年の1月1日~6月30日における課税売上高が1,000万円を超えている場合。

課税事業者に該当する場合は消費税の支払いも発生するため注意したい。

アパートを高く売却するポイント

アパートを売却するのであれば、できるだけ高く売りたいものである。ここでは、どうすればアパートを高く売却できるかのポイントを解説する。

適正価格でできるだけ短期間で売却する

高い価格で販売スタートすれば高く売れる可能性があると思われるかもしれないが実際はそう簡単ではない。相場からかけ離れたような価格で販売スタートをすると、全く反響を得られず結局は値下げ値下げの繰り返しで、最終的には売れない物件と認知されて相場価格ですら売れないといったケースになることもある。よって、まずは相場よりも少し高いぐらいの金額で販売スタートをしてできるだけ短期間で売却するよることに注力しよう物件の希少価値を落とさないためにはできるだけ短期間で鮮度が高い状態で売却をすることが重要なのだ。

短期間で売却する方法とは?

では、できるだけ短期間で売却するにはどのような方法が必要だろうか。単純にレインズやポータルサイトに掲載するだけでは短期間で売却することはできない。不動産も他の商品と同じように商品である以上、しっかりとターゲットを定めてそこに向けてマーケティング活動をする必要がある。例えば築年数が古く耐用年数を超えた木造のアパートであれば、短期間で減価償却が取れ節税効果が大きいため節税商品として給与収入の高いサラリーマン向けに売却活動をするなどです。しかし、通常の不動産会社はそこまでやることは稀なため、しっかりと売却戦略を練って売却活動をしてくれる不動産会社を選ぶ必要がある。

不動産会社の選定が重要

前述した通り不動産会社の選定は重要だ。大手の不動産会社であっても、担当者の経験にばらつきがあり、成績を上げるために、契約件数を優先する傾向が高いことを念頭に置くと良い。つまり顧客の利益よりも自社や自分の利益のことしか考えていないということだ。

また囲い込みという問題もある。囲い込みとは両手取引のために売却で預かった物件を他社に紹介せずに自社の顧客だけに紹介する行為だ。物件情報が広まる範囲が限られてしまうため、売却に時間がかかったり、定価で購入してくれる顧客が見つからないケースも多い。国もこのような問題を解決するために監視の目を厳しくしているが未だに改善されれず横行されているのが現状だ。

よって、大手だがら安心という安易な考えでなく、顧客である売主に寄り添って売却活動をしてくれる不動産会社に依頼をすべきである。当サイトでは「売主ファースト主義」を掲げて売却活動させて頂いていいる。当然囲い込みはしないし、しっかりと売却戦略を立ててマーケティング活動を行っている。売却専門不動産会社として、売主の利益が最大化するようにサポートをさえて頂いているので、もし売却について不安や不明点当あればぜひお問い合わせ頂きたい。

まとめ

アパートを売却するためには、事前に知っておくことが多種多様にある。知識を深めることで、アパートをより高く、スムーズに売却することも可能なのだ。アパートの売却にも、費用が必要であり、費用を準備するためにも、売却費用の種類を理解しておくことは重要である。

アパートを高く売却する方法やアパート売却の手順なども、知識として理解しておくことをおすすめする。アパート売却の注意点を、知っておくことで損をしないアパートの売却が可能となるだろう。アパートの売却で悩まれたら、下記の「お問い合わせへ」の活用をおすすめする。悩みが解消されるかもしれないため、ぜひ利用していただきたい。

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